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設計のポイント

タイマー機能の活用 その1
~ 一定周期で処理するタイマー割り込みの基本~

分類マイコンファームウェア 設計のポイント

設計のポイント

1.はじめに

組み込みシステムにおいて、時間に基づいて特定の処理を正確かつ繰り返し実行することは非常に重要です。例えば、センサーデータの定期的な読み込み、LEDの点滅、モーターの制御など、多くの機能が時間の精度に依存しています。これらの処理を効率的かつ信頼性高く実現するために、組み込みシステムの設計では「タイマー機能」が不可欠です。ここでは、タイマー機能の最も基本的な活用法である「一定周期で処理するタイマー割り込み」についてその仕組みと設計のポイントを紹介します。

2.タイマー割り込みとは?

「タイマー割り込み」とは、マイコン内部に搭載されているタイマーが、設定された時間間隔で「割り込み」と呼ばれる特殊な処理を発生させる機能のことです。この割り込みが発生すると、マイコンは現在実行中のメインプログラムを一時停止し、事前に登録しておいた特定の処理(「割り込みハンドラ」または「割り込みサービスルーチン (ISR)」と呼ばれる)を実行します。割り込みハンドラの処理が完了すると、マイコンは中断していたメインプログラムの実行を再開します。この仕組みを利用することで、メインプログラムの実行とは独立して厳密な時間間隔で任意の処理を繰り返し実行することが可能になります。

 

3.タイマー割り込みの基本的な仕組み

多くのマイコンのタイマーモジュールは、以下のような要素で構成されています。

●カウンタレジスタ (Counter Register)
一定の周期(多くの場合、マイコンの動作クロックに同期)でカウントアップまたはカウントダウンしていくレジスタです。タイマーの心臓部とも言えます。
●周期レジスタ/コンペアレジスタ (Period Register / Compare Register)
カウンタレジスタの値がこのレジスタに設定された値に到達した際に、タイマー割り込みを発生させるための閾値です。この値を調整することで、割り込みの発生周期を決定します。
●プリスケーラ (Prescaler)
カウンタレジスタのカウントアップ/ダウンの速度を調整するための分周器です。マイコンのクロック周波数が高すぎる場合、プリスケーラで分周することで、より長い周期のタイマー割り込みを生成できます。
●割り込み許可/禁止ビット (Interrupt Enable/Disable Bit)
タイマー割り込みを有効にするか無効にするかを設定するビットです。

4.動作のイメージ

以下の繰り返しにより、一定周期での処理を実現します。

1)カウンタレジスタをリセットし、周期レジスタに目標周期に対応する値を設定します。
2)プリスケーラを設定し、カウンタレジスタのカウント速度を調整します。
3)タイマー割り込みを有効にします。
4)カウンタレジスタのカウントアップを開始します。
5)カウンタレジスタの値が周期レジスタの値に到達すると、タイマー割り込みが発生します。
6)マイコンは現在の処理を中断し、割り込みハンドラを実行します。
7)割り込みハンドラ内で、周期的に実行したい処理(例:LEDの点滅、変数のインクリメントなど)を行います。
8)割り込み要因をクリアし、カウンタレジスタをリセット(または継続してカウント)します。
9)割り込みハンドラの処理が完了すると、マイコンは元のメインプログラムの実行に戻ります。

5.設計のポイント

タイマー割り込みを効果的に活用するためには、以下の点に注意して設計を進めることが重要です。

●割り込み周期の決定

【要求される精度】
どの程度の時間精度が必要か(例:1msごと、100msごと)
【処理時間】
割り込みハンドラ内で実行される処理が、次の割り込みが発生するまでに完了するか。割り込みハンドラ内の処理は極力短くする必要があります。長すぎると他の処理や次の割り込みに影響を与え、システムのリアルタイム性が損なわれる可能性があります。
【マイコン負荷】
割り込みの頻度が高すぎるとマイコンが割り込み処理ばかりに時間を費やしメインプログラムの実行が停滞する可能性があります。
●割り込みハンドラの実装
【最小限の処理】
割り込みハンドラ内では本当に必要な処理(例:フラグを立てる、カウンタをインクリメントする)のみを実行し、時間のかかる複雑な処理はメインループに任せるのが鉄則です。
【揮発性変数 (volatile)】
割り込みハンドラとメインループで共有する変数には、volatile キーワードを付与することを忘れないでください。これにより、コンパイラの最適化によって意図しない動作になることを防ぎます。
【再入可能性】
割り込みハンドラが、別の割り込みハンドラやメインプログラムから呼び出される可能性がないか確認します。特に多重割り込みを許可する場合、スタックの使用量やグローバル変数の競合に注意が必要です。
●割り込み優先度(Interrupt Priority)
複数の割り込みを使用する場合、それぞれの割り込みに優先度を設定できます。これにより、同時に複数の割り込みが発生した場合に、どの割り込みを先に処理するかを決定できます。タイマー割り込みは、多くの場合、他の割り込みと競合する可能性があるため、適切な優先度設定が重要です。
●タイマーの初期化と制御
使用するマイコンのデータシートやリファレンスマニュアルを熟読し、タイマーモジュールのレジスタ設定方法を正確に理解します。タイマーの開始/停止、割り込みの許可/禁止を適切に制御できるような関数やマクロを用意するとコードの見通しが良くなります。
●デバッグの考慮
タイマー割り込みが意図した通りに動作しているかを確認するため、デバッグ用のピン(GPIO)を割り込みハンドラ内で反転させるなどして、オシロスコープで波形を観測できるようにすると非常に有効です。

 

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マイコンファームウェア 設計のポイント

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