1.概要
電子回路の安定性を高めるための重要な要素、それがバイパスコンデンサです。
見過ごされがちなこの部品ですが、電子回路上でとても重要な役割を果たしています。
2.そもそもバイパスコンデンサとは?
バイパスコンデンサと聞いてもイマイチしっくり来ないと思います。
簡単に説明すると、バイパスコンデンサは 電子回路における 『小銭入れ』の様なものです。
例えば 日常生活で急に小銭が必要になることがあると思います。
そんなとき 財布から一枚一枚探すのは手間がかかってしまいます。
もし小銭入れがあれば、必要なときにすぐ取り出せてとても便利です。
電子回路でも同じことが言えます。
デバイスが急に電力を必要とするとき、電源から直接供給すると わずかな遅延や電圧変動が発生します。
そのためデバイス近くにあるバイパスコンデンサ(小銭入れ)の中にエネルギーを蓄えておくことで、
エネルギーが即座に供給され、回路の安定性が向上しノイズや電圧変動を抑えることができます。
3.設計上のポイント
① デバイスの電源ピン近くに配置する
バイパスコンデンサは、デバイスの電源ピンにできるだけ近づけて配置することが重要です。
これはコンデンサからデバイスまでの配線が長いと、その間にインダクタンスが増加し
効果が減少してしまうためです。
近くに配置することで、電圧の変動やノイズを素早く抑え、安定した動作を確保できます。
② ノイズの周波数に合わせて静電容量を決める
使用するバイパスコンデンサの静電容量は、ノイズの周波数に合わせて選定します。
高周波ノイズには小容量、低周波ノイズには大容量が適しています。
ターゲットとなるノイズ特性に応じて適切な静電容量を選ぶことで、より効果的なノイズ対策が可能です。
③ 容量が小さいものからデバイスに近づけて配置する
異なる容量のバイパスコンデンサを配置する際は、
容量が小さいものから順にデバイスの近くに配置することが重要です。
この順番で配置することで、広範囲にわたるノイズを効果的に抑制できます。
この順序を誤ると、インダクタンスの影響により小容量のコンデンサが
高周波ノイズを十分に除去できなくなる恐れがあります。
適切な配置をすることで、回路の安定性を最大限に引き出すことができます。