通信回路における信頼性向上 – UART・CAN・BLEの最適化事例
近年の組込み機器では システム間やデバイス間の通信がますます重要になっています。
複合機やFA機器、スマートキー、医療装置など、どの分野でも
複数のマイコンやセンサー無線モジュールが連携しながら動作しています。
これらの通信を安定させるには、回路設計・通信プロトコル・ノイズ対策・ソフトウェア制御が
一体となった信頼性設計が欠かせません。
UART通信 ― 基本構成でも安定動作を実現する工夫
UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)は シンプルで汎用性の高い通信方式として、
ほぼすべてのマイコンに搭載されています。
1. 基準クロック誤差の管理
送受信機間のクロック誤差が±2%以内に収まるよう
マイコン内部クロックのキャリブレーションを実施
2. ライン保護と終端処理
過渡サージ対策として、ライン直下にTVSダイオードやフェライトビーズを配置
高速通信では終端抵抗を適切に選定

3. エラーチェック機構の活用
パリティビットやCRCを利用して、受信側でデータ整合性を即時確認
ソフトウェア側で自動リトライ機構を実装することも有効
こうした対策を取ることで、特に長配線やノイズが多い環境下でも通信ロス率を大幅に低減できます。明確にするとフィルタ設計がスムーズになります。
CAN通信 ― 産業機器での高信頼通信を実現
CAN(Controller Area Network)は、自動車やFA機器などで広く採用されている
高信頼通信プロトコルです。
主な特徴は「メッセージ単位の仲裁制御」と「エラー検出・再送機能の標準搭載」であり
ノイズや通信混雑に強い構造を持っています。
ただし、ハードウェア設計段階で以下のポイントを押さえる必要があります。
1. バスラインのインピーダンス整合
ツイストペア線と終端抵抗(通常120Ω)を正しく配置し、反射波による誤動作を防止

2. グランド電位差対策
機器間でグランドレベルが異なると通信異常の原因になるため
アイソレータやコモンモードチョークでノイズを抑制

3. 通信負荷率の最適化
バス使用率が70%を超えると再送頻度が増加するためタスク周期やメッセージ優先度を適切に設定
当社では、実際の制御システム開発において、マルチノードCAN構成を最適化し
通信安定度を向上させた事例があります。
結線長・ノード数・負荷率を解析し、再送発生率を1/10以下に低減できたことが開発上の成果でした。
BLE通信 ― 無線環境下での安定性確保のポイント
BLE(Bluetooth Low Energy)は、近距離・低消費電力通信として
スマート家電やモバイル連携機器に多用されています。
一方で、周囲環境の影響を受けやすく
通信安定化にはハードウェアおよびファームウェアの両面からの工夫が必要です。
主な最適化ポイントは以下になります。
1. アンテナ設計と周辺部品の配置
RFモジュール周囲のGNDクリアランスを確保し、金属筐体や高電流ラインから距離を取る
2. 通信再試行と接続監視
BLEのペアリング切断を防ぐため、再送計画や接続監視タスクを組み込み、データロストを防止
3. 省電力制御と安定性の両立
アドバタイズ間隔・送信出力・スリープ制御を動的に制御し
通信強度とバッテリー持続時間をバランスする
これにより、電波干渉が多い工場やオフィス環境でも安定した通信を維持できます。
おわりに
通信信頼性を高めるには、ハード・ソフトの境界で起こる問題を早期に可視化する仕組みも重要です。
例えば、通信エラーカウンタをファームウェア側でログ化し
異常発生時にリセット・再試行・冗長通信経路を自動制御することで、
運用現場での復旧対応も容易になります。
当社では、通信層・電気層・ソフト層が協働して
UART、CAN、BLEといった異種通信の混在環境を最適化し
通信評価治具を用いたビット波形・遅延時間・リトライ回数の測定によって、
信頼性設計を定量的に実現しています。
組み込み開発なら、当社にお任せください。
当社は、回路設計・基板設計、メカ設計といったハードウェアの設計領域から、組み込みソフトウェア、システム開発といったソフトウェア領域まで、一貫対応が可能です。また、部品実装や組立といったものづくりの領域まで対応できるODM企業として活躍しています。
委託先を分散せず一社で完結することにより、スピーディーな試作開発、そして量産が可能となり、ODM先をお探しの企業様に選ばれる大きな理由の一つとなっています。


技術情報・技術コラム

- 組み込みソフトウェア
- 組み込みハードウェア
通信回路における信頼性向上 – UART・CAN・BLEの最適化事例
近年の組込み機器では システム間やデバイス間の通信がますます重要になっています。複合機やFA機器、スマートキー、医療装置など、どの分野でも複数のマイコンやセンサー無線モジュールが連携しながら動作しています・・・

- 組み込みソフトウェア
- 組み込みハードウェア
センサー信号処理の工夫 – デジタルフィルタとキャリブレーション設計
組込み機器の多くは 温度・圧力・角度・光・加速度など、
さまざまなセンサーからのアナログ信号を基に制御を行っています。
しかしセンサー信号には「ノイズ」「ドリフト」「感度誤差」など、不安定要素が常につきまといます。
これらをそのまま制御演算に取り込むと、誤動作や制御ずれが発生する要因となります。
そのため、センサー信号をいかに“正しく・安定して”扱うかが制御開発の品質を左右します・・・

- メカ設計
軸部品設計における強度解析と加工精度の考え方
モータやギア、プーリ、カムといった回転体を支える「軸部品(シャフト)」は、
機器の動作精度と耐久性を左右する重要部品です。
制御機構、搬送装置、複写機など、あらゆる分野の駆動系に用いられており
わずかな歪みや偏心が振動・騒音・摩耗を引き起こす原因となります。
設計では 強度解析に基づいた安全率の設定と、
加工・組立段階での精度管理をいかに両立させるかが最大のポイントです・・・

- 組み込みソフトウェア
- 組み込みハードウェア
高効率電源回路の設計と発熱対策のバランス
電子機器の小型化・高性能化が進む中で、電源回路の高効率化はますます重要なテーマとなっています。制御基板やIoTデバイス、FA機器、医療機器などでは 複数の回路ブロックに異なる電圧を安定供給しながら限られたスペースで発熱を抑制することが求められます・・・

- 組み込みソフトウェア
RTOS導入で変わる組込み制御開発の設計思想
近年の組込みシステムは 単純な制御処理から、通信・表示・センサ連携・安全監視など多機能化が急速に進んでいます。かつての「1チップで1機能」という設計から脱却し、1つのマイコンで複数のタスクを同時並行で処理するシステム構成が一般的となりました・・・

- メカ設計
板金構造部品の設計最適化とコストダウン手法
産業機器や家電、OA機器など多くの製品において筐体・フレーム・ブラケットといった板金構造部品は欠かせない要素です。板金部品は機械的な支持構造であると同時に、放熱・ノイズ対策・メンテナンス性など製品の信頼性やユーザビリティにも密接に関わります・・・

- 組み込みソフトウェア
- 組み込みハードウェア
ノイズ源を特定する! 制御基板EMC対策の実践手法
制御基板設計では 機能や性能と同様に「EMC(電磁両立性)対策」が欠かせません。複写機・業務用洗濯脱水機・医療機器・FA装置などでは、周囲の電子機器にノイズを与えず同時に外部ノイズに影響されない電気的安定性が求められます・・・

- 組み込みソフトウェア
マイコン選定とファーム構成の考え方 性能と開発効率の両立設計判断
製品の知能化・ネットワーク化が進むなかで、組込み機器の中核となるマイコン(マイクロコントローラ)の選定は開発成否を大きく左右する工程です・・・

- メカ設計
材料選定のコツ:PC・ABS・POMの特性を活かす設計判断
製品の品質・コスト・信頼性を大きく左右する要素のひとつが「材料選定」です。とくに産業機器や家電、医療機器などの機構設計では、使用環境や要求特性に応じて最適な樹脂材料を選定する判断力が求められます・・・

- 組み込みソフトウェア
- 組み込みハードウェア
マイコン周辺回路設計でミスを防ぐ チェックポイント
マイコンを中心とする電子機器の設計では、システムの安定動作を支える「周辺回路設計」が極めて重要です。多くの産業機器や民生機器に組み込まれるマイコンは 電源、クロック、リセット、通信、I/Oなど多様な信号と接続されており・・・


