組込み電源の突入電流対策 起動安定性を高めるための実践事例
電源投入時に一瞬だけ大きな電流が流れる「突入電流」は、
組込み機器の起動不良や部品劣化の原因となります。
特に近年は大容量コンデンサや高性能電源ICの採用により
突入電流の影響が顕在化しやすくなっています。
本記事では 突入電流が発生する仕組みと、その具体的な対策方法について解説します。
突入電流が発生するメカニズム
電源投入直後、平滑コンデンサは未充電状態です。
そのため電源ラインには一時的に大きな充電電流が流れます。これが突入電流です。
特に以下の条件では突入電流が大きくなります。
・入力側に大容量電解コンデンサを搭載している
・スイッチング電源の入力フィルタ容量が大きい
・低インピーダンス電源を直接接続している
突入電流が大きいと 電源ICの保護機能が働き起動に失敗したり、
ヒューズやスイッチに過大なストレスがかかることがあります。
また、繰り返しの突入により接点寿命を縮めるケースもあります。
回路設計での基本対策
突入電流対策の第一歩は、電流の立ち上がりを制御することです。
代表的な方法としては
・NTCサーミスタによる電流制限
・直列抵抗+リレーによるソフトスタート構成
・電源ICのソフトスタート機能活用
NTCサーミスタは簡易でコストも低い方法ですが、連続通電環境では発熱に注意が必要です。
一方 電源ICのソフトスタート機能を活用すれば、出力電圧の立ち上がりを制御でき、
安定した起動が可能になります。

レイアウトと評価での実践ポイント
回路対策だけでなく、基板レイアウトも重要です。
突入電流は瞬間的に大電流が流れるため、電源パターンの幅や銅箔厚が不足していると
局所的な電圧降下が発生します。
・電源入力ラインをできるだけ短く太く設計する
・コンデンサは電源IC直近に配置する
・GNDリターン経路を明確にする
といった配慮が必要です。
評価段階では、オシロスコープで起動波形を確認し、
入力電圧の落ち込みや異常発振がないかを確認します。
突入電流はシミュレーション値と実機で差が出ることもあるため、実測評価が不可欠です。
まとめ
突入電流は一瞬の現象ですが、起動安定性や部品寿命に大きな影響を与えます。
対策には、回路設計・部品選定・レイアウト設計を総合的に検討することが重要です。
ソフトスタート機能や電流制限素子を適切に組み合わせ、実機評価で波形を確認することで
安定した起動特性を実現できます。
起動時の一瞬の挙動を丁寧に設計することが、長期信頼性の高い組込み電源設計につながります。
組み込み開発なら、当社にお任せください。
組み込み機器 受託開発・生産センターを運営する株式会社サンエスは、電子回路設計の受託開発を行っています。また、当社は回路設計・組み込みソフトウェアの知見を持つエンジニアが在籍し、ハードウェア・ソフトウェアの両面から総合的な設計を行うことで、要求仕様と要求動作を満たす最適なシステムを実現します。本コラムで紹介している電子回路設計で注意するポイントなど、設計の観点での相談についてもお気軽にお問い合わせください。

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