マイコンの割り込みハンドラとは

マイコンの割り込みハンドラ処理とは

割り込みハンドラとは、マイコンやプロセッサが実行中のプログラムを一時中断し、特定のイベントに応じた処理を行うための特別な関数です。割り込みは外部のハードウェア信号や内部タイマーなどによって発生します。割り込みが発生すると、プロセッサは現在のタスクを中断し、割り込みベクタに従って適切な割り込みハンドラを呼び出して対応します。

たとえば、外部デバイスからの入力信号やタイマー割り込みが発生した際、システムは割り込みハンドラを利用して即座に対応することができます。割り込みハンドラは、リアルタイムシステムやデバイス制御において、重要な役割を果たします。

割り込みハンドラの種類と処理

割り込みハンドラには主に２つのタイプがあります。これらは、システム内の異なるレベルの要求に対応しており、それぞれ異なる目的や用途に使われます。

●外部割り込み: 外部デバイス（センサーやユーザー入力デバイス）からの信号によってトリガーされる割り込みです。これにより、システムはすぐに対応が必要なイベントにリアルタイムで反応します。たとえば、ボタンが押されたときなどに発生します。

●内部割り込み: プロセッサやタイマーなど、システム内部で発生する割り込みです。タイマーカウントの完了やソフトウェアのエラーが内部割り込みを引き起こす例です。内部割り込みは、ソフトウェアとハードウェア間の同期をとるために利用されます。

各割り込みは、優先度に従って処理されます。割り込みが発生した際、システムは割り込みベクタを通じて対応するハンドラを呼び出し、適切な処理を行います。

割り込みハンドラのC言語を使った設計

割り込みハンドラの設計は、通常の関数設計とは異なり、特定の制約が伴います。例えば、割り込みハンドラ内では時間のかかる処理を避け、迅速に処理を終えることが求められます。割り込みが多発すると、システム全体が遅延する可能性があるため、割り込みハンドラ内での処理はできるだけ軽量に設計する必要があります。

また、割り込みハンドラはC言語などで記述され、リアルタイムでの応答が求められるシステムにおいて特に重要です。例えば、センサーデータの処理やユーザー入力の処理などが割り込みハンドラの代表的な利用ケースです。

C言語で割り込みハンドラを実装する場合、関数は特定の割り込みベクタに割り当てられます。割り込みベクタとは、割り込み発生時にどの処理を行うかを示すアドレスのことです。

割り込みベクタは、外部割り込み、内部割り込みなど、異なる種類の割り込みに対応する処理を指示するために使用されます。各割り込みには対応するベクタが割り当てられており、CPUは割り込みが発生すると、このベクタを参照して適切なハンドラを呼び出します。

割り込みベクタテーブルは、システムが起動時にメモリ上に配置され、各割り込みに対して対応するハンドラのアドレスが格納されます。これにより、システムは各種割り込みに迅速に応答できるようになります。

マイコン設計の割り込みハンドラの対策

マイコンには、多くのペリフェラル（周辺機器）が搭載されており、それぞれが異なる割り込みを発生させます。割り込みハンドラを適切に設計するためには、各ペリフェラルの特性に応じた対策が必要です。具体的なペリフェラルの例として、タイマ、通信ペリフェラル（UART、SPI、I2C、USB、CANなど）、A-Dコンバーター、LCDコントローラー、DMA、暗号化回路が挙げられます。

例えば、A-Dコンバーターはアナログ信号をデジタル信号に変換し、その結果を割り込みハンドラで取り込む必要があります。通信ペリフェラルでは、受信データの取得や送信データのセットを割り込みによって行います。特にエラーが発生した際には、割り込みハンドラでエラー処理を迅速に行うことが重要です。

タイマに関しては、オーバーフローやアンダーフローの際の処理、コンペアマッチやインプットキャプチャーのイベントに対応する割り込み処理が求められます。これらの割り込みが頻繁に発生するため、適切な優先度の設定や、効率的な割り込みハンドラの設計がマイコン全体の性能に大きく影響します。

それぞれのペリフェラルに対する割り込みハンドラは、処理内容やタイミングが異なるため、設計時には次の対策が重要です。

割り込みの優先度設定
ペリフェラルによって割り込みの優先度を適切に設定し、重要な処理が遅延しないようにします。例えば、タイマのオーバーフロー処理が通信データの受信よりも重要であれば、タイマ割り込みの優先度を高く設定します。

処理の分割と軽量化
割り込みハンドラ内での処理は最小限に抑え、できるだけ軽量化することで、他の割り込みやタスクに影響を与えないようにします。例えば、データの受信処理は割り込みハンドラ内でバッファにデータを一時保存し、後続の処理はメインループで実行する方法が効果的です。

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マイコンの割り込みハンドラについて組み込み機器 受託開発・生産センターを運営する株式会社サンエスは、組み込みソフトウェアの受託開発を行っています。また、当社は回路設計・組み込みソフトウェアの知見を持つエンジニアが在籍し、ハードウェアとソフトウェアの両面から総合的な設計を行うことで、要求仕様と要求動作を満たす最適なシステムを実現します。マイコン設計開発の豊富な経験があります。お気軽にお問い合わせください。