1.A/D変換で温度・光・圧力を読む!
A/D変換(ADC)は、現実世界を“データ”に変える入り口です。
もしA/D変換を正しく扱えなければ、せっかくのセンサ性能が台無しに…
ここでは、「温度」「光」「圧力」を例に、マイコンでセンサを正確に読み取るための基本設計と実践テクニックを解説します。
2.A/D変換のしくみ
A/D変換は、「入力電圧 → 数値(デジタル)」へ変換する装置です。
(例:10ビットA/D変換、リファレンス電圧 = 5Vの場合)
入力 0V → 0
入力 2.5V → 511
入力 5V → 1023
入力電圧とA/D変換出力は比例関係にあり、0から1023という数値で”電圧”を読み取ります。
この電圧値を、センサの特性(抵抗値や電圧変化)を用いて“物理量”に変換します。
3.温度センサを読む(サーミスタ編)
温度センサの中でも扱いやすいのが サーミスタ(温度で抵抗値が変化する素子)。
多くの場合、抵抗分圧回路を組んでA/D変換で電圧を読み取ります。
🔧 回路例
VCC(5V)
│
R1(固定抵抗)
│
│─────→Vout( マイコンのA/D変換入力端子へ)
│
サーミスタ(NTC、温度で変化)
│
GND
温度が上がるとサーミスタの抵抗が下がり、Vout電圧も下がります。
A/D変換値が下がる=温度上昇を意味します。
💡ポイント

4.光センサを読む(CdSセル/光センサIC編)
光センサ(CdSセル)は明るさで抵抗値が変化します。
サーミスタと同様に分圧回路でA/D変換電圧を取得します。
🔧 回路例
VCC(5V)
│
CdSセル(明るいと抵抗が小さい)
│
│─────→ Vout(マイコンのA/D変換入力端子へ)
│
R2(固定抵抗)
│
GND
明るくなるとCdS抵抗が下がり、Vout電圧が高くなります。
Vout電圧が高くなる⇒A/D変換値が大きくなるという単純な構造です。
💡ポイント

5.圧力センサを読む(ブリッジ出力型/アナログ電圧型)
圧力センサは信号が微小(数十mV)なことが多く、
そのままA/D変換に入力すると 分解能が足りない/ノイズが目立つ 場合があります。
🔧 回路例1
圧力センサ出力(0.5V〜4.5V)
↓
A/D変換入力
🔧 回路例2
圧力ブリッジ
↓
高精度オペアンプ
↓
A/D変換入力
💡ポイント

6.共通の設計ポイント「アナログを正しく“読む”ための三原則」
センサから得られるアナログ信号を正確にマイコンで読み取るためには、A/D変換の設定や使い方だけでなく
**アナログ回路と測定の「本質的な原則」**を理解することが不可欠です。
特に、以下の三原則は、一見当たり前のように見えて、実は多くのプロジェクトで見落とされがちな落とし穴でもあります。
これらのポイントを意識することで、より安定した動作を手に入れることが出来るでしょう。
💡ポイント

7.DMAとの連携で「ノンストップ計測」
ルネサスRL78やRAシリーズでは、A/D変換完了をトリガにDMAで自動転送が可能です。
[A/D変換完了]
↓
DMA → [RAMバッファ更新]
↓
CPUは別処理中でも定期サンプリングが継続
これにより、CPUが別の制御タスクを実行していても、
測定データが止まらないリアルタイムモニタリングが実現できます。
8.測定データの“見える化”例(グラフ出力)
出力例(ログ・グラフ)
温度 : 28.6°C
光度 : 745/ 1023
圧力 : 104.2 kPa
A/D変換値をログ出力してグラフにするとセンサ動作が一目で確認できます。
9.まとめ
1) A/D変換は アナログ信号 → デジタルデータ への変換の要
2) 温度・光・圧力センサは「抵抗・電圧変化」をA/D変換して読むのが基本構成
3) A/D変換の精度を高めるには、①リファレンス電圧の安定化、②ノイズ対策、そして③測定の一定周期化という三つの要素がカギ
4) DMA等と組み合わせれば、CPUに負担をかけず連続計測が可能
マイコンのA/D変換を正しく使いこなせば、
あなたのシステムが “感じて考えるデバイス” に進化します。


